吟行記
【平成20年11月号】
 
 第51回 平成20年10月16日(木)
 参加者 佳与子 節子 聖子 光子 真理子 由紀子
 
 紫川・小倉城周辺(小倉北区)
 
 10月16日、11時現地集合。集合場所の紫川にかかる「鴎外橋」の近くには、小倉城や市庁舎がそびえている。爽やかな風が吹き、空には少し雲がかかり、絶好の吟行日となる。今月は佳与子さんの足の状態がよくないので、じっと座っていてもそれなりの吟行ができる所ということで、小倉城近くの護岸整備がされて綺麗になった紫川周辺を散策することにする。元気そうな笑顔が揃う。
まずはお腹を満たして元気がでたところで吟行というのが、あしや句会恒例となっているので、川沿いの「クラウンパレス小倉」にて昼食。少し時間が早いかなと思ったが、次々に入ってくる客をみていると、景色のよい6人掛けのテーブルを確保するにはちょうど良い時間だったようだ。
 
   
<紫川周辺のホテルや高層マンション>
 
 小倉の繁華街と小倉城を隔てるように流れる紫川は、名前のイメージとは程遠いドブ川だったが、北九州が掲げた都市再生事業として織り込まれた「紫川マイタウン・マイリバー整備事業」によって市民の憩いの場所として生まれ変わっている。最初に取りかかったのは橋の架け替えだが、「石の橋」「火の橋」「木の橋」「鴎外橋」「風の橋」などそれぞれ特徴ある橋は、噴水や遊覧船や水上ステージとともに公園の一部として楽しむことができる。当初は橋ばかりに税金を使ってと批判する人も多かったが、かっての紫川沿いの建物が店舗の裏側ばかり見える殺伐とした風景から、川治いのオープンカフェーから街並みを眺める空間ができ、多くの市民が集まるようになったのは、結果的に市の取り組みは成功したのではないだろうか。
 
 
<商業施設「紫江’S」(正面の水面下に「水環境館」が配置されている)
 
 待つ人の電車着く頃秋晴れて     佳与子

底深く河口流れ出る秋の潮        聖子
 
川風になびく幟も鯊日和         佳与子
 
橋の上より鯊釣を見る人も        佳与子
 
 紫川を直接覗ける観察窓のある「水環境館」を見学する。民間の商業施設「紫江’S」の地下にあって、知る人ぞ知る施設だが、多くの小学生達の学習体験場所となっている。観察窓には実際に泳いでいる鯔や黒鯛などが現れる。館の完成直後に見たときには川底まで透けて見えていたが、天候などの条件もあるだろうが、水は濁り時折姿を現す魚しか見えなかったのが残念。
淡水と海水の境界面ができる現象「塩水くさび」の説明や紫川に実際棲んでいる魚が水槽に飼われているので、時間がある時にはゆっくり眺めることを勧める。毎年「北九州市長杯ハゼ釣り大会」が行なわれているほどに水質が良くなったのは喜ばしい。
 
   
<「水環境館」内の水槽と魚>
 
 ごんずいのひげを数えて水の秋      佳与子

カニの目の長く伸びたり秋の晴        光子
 
気がつけば雲みな消えて秋の空       節子
 
 「水環境館」から「鴎外橋」を渡って小倉城方面へと向かう。「小倉城庭園」の裏側を覗いてみる。中に入れそうだ。武家屋敷を再現したもので、池や築山のある回遊式庭園には鯉が泳ぎ、石蕗の花がいくつか咲いている。「ここからは有料」の札があるが、池の近くまで下りていくことができ、庭園の秋の風情を十分感じることができる。ただ秋蚊が音もなくやってきて痒い。
 
   
<小倉城庭園>
 
花石蕗の咲くばかりなる庭に出て     光子

秋日濃し庁舎に高く日章旗        由紀子

隊列の練習続く薄紅葉          真理子
 
 庭園の周囲を歩いて句会予定の市庁舎へ。15階のレストランは展望台のように小倉の街が一望できる。以前句会をした時には広すぎると思ったが、今回行ってみると、三分の一程度の狭いスペースになっている。市長が変わり無駄を省こうということだろう。それでも、利用する人が少ない時間なので句会場には手頃な場所だ。
目の前にはリバーウォークの斬新な建物、遠くには関門橋が見える。秋の澄んだ空に工場の煙突から白い煙が立ちのぼっている。10句の句会。 佳与子さんの早い回復を願ひつつ、それぞれ帰路につく。
 
   
<市庁舎・小倉城周辺と商業施設「リバーウォーク」>
 
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