吟行記 【平成23年5月号】 |
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第81回 平成23年4月14日(木) | |||
参加者 佳与子 節子 光子 真理子 由紀子 | |||
金山川・芦屋海岸(八幡西区、芦屋町) | |||
今年の桜の開花宣言の日にちは例年と似たり寄ったりだったと思うが、何時までも冬物のコートがいるほど気温の上がらない日が続き、全般的に開花が遅れている。ようやく4月に入って日中の気温が20度近くになり、桜の花がちらほらと咲き初め、その後一気に満開となった。満開になっても雨の降る日が少なく、中旬でも朝方の気温は10度前後と低いので、桜を楽しむ時期が長い年になった。 | |||
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4月14日折尾駅に10時半集合。車で迎えに行く。若松北海岸、芦屋海岸の吟行の予定にしていたが、前日に見た金山川沿いの桜並木と桜の下のチューリップが美しく、皆に見せたくて少し遠回りしてみる。 NPO法人のボランティアの人々の手によって春には菜の花、桜、チューリップなど、秋にはコスモスなどが植えられて行き交う人々の目を楽しませてくれる金山川。両岸の300本の桜が散る様はまだまだ見応えがある。種類も色も多い10万本のチューリップは今からゴールデンウィーク頃まで咲いていそうだ。介護士と一緒の車椅子に乗った老人たちが花を眺めている。近くに老健施設がいくつかあるので、人の少ない平日に花見に来ているのだろう。 |
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水門に寄せては流れ花の屑 佳与子 | |||
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花見のあと車は一路海岸へ向う。若松ゴルフ倶楽部や乗馬倶楽部を過ぎると海が見えてくる。「はまゆう海岸通り」から見る響灘は所々色の違う青色が美しい。産直の野菜や魚介類の販売所「とと市場」の駐車場に車を止めて海岸に下りて行く。 風は少しあるが、テトラポットに打ち寄せる波は穏やかだ。若布竿を引いている人がいる。時期が少し遅いのではと思って聞いてみると、採った昆布などの海草を干して粉末状の鶏の餌にすると言う。甘味のある美味しい卵を生むらしい。そういえば海草にはヨウ素が多く含まれているので、ヨード卵用の飼料になるのかもしれない。2−3の大袋に茶色の海草がぎっしり入っている。 |
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若布刈竿波打ち際に黙々と 節子 大潮の引き去る鹿尾菜いっせいに 光子 風光る礁に波のうねり来て 真理子 一望の灘とめどなく散る桜 由紀子 |
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岬(狩尾岬)に沿った遊歩道を歩いてみる。岬の突端あたりから西側の海は岩場が広がり乾いている。「芦屋の千畳敷」と呼ばれ、満潮時には隠れるが干潮時には姿を現す岩場で、海水が岩の間や窪みに所々残っている。岩場の先で釣りをしている。この辺りはよい漁場で色々な魚や鮑や雲丹も採れる。岩場の白い粉は塩のようだ。 ここから正面に「洞山」(どうやま)と呼ばれる洞のある島が見える。その先に夕陽が沈む景色は圧巻なのだが、なかなかその時間には居合わせない。一旦引き返し、「ととや」にて昼食。部屋から海は見えないが、ピアノの生演奏を聴きながらの句作、食事となる。 |
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干潟へと鳶の一羽が急降下 佳与子 見晴るかす干潟に光る潮の帯 佳与子 潮風の風なだめつつ野あざみに 由紀子 磯遊干潟潮にきらきらと 節子 |
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午後からは「堂山」「洞山」まで行こうと柏原漁港まで行く。狩尾岬と堂山に囲まれた入り江の小さな漁港だが、ランプを吊らした烏賊釣り船が所狭しと停泊している。千畳敷の岩場には浅蜊を採る人、海草を採って海水で洗う人など疎らながらいる。魚市場はガランとしている。採れた烏賊や魚貝類は「海の駅」と大きく書かれた建物内の水槽に入れられ売られ、レストランも併設されている。 | |||
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烏賊の甲浮きてしずかな港午後 真理子 船ばたに揺らめく光春の潮 節子 舷に水かげろうや春の鳶 由紀子 ひとり来て岩のはざまの浅蜊かく 真理子 のどけしや雁木ずらりと菜を干して 佳与子 揉みし菜を干しをる夫婦汐干潟 光子 |
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船溜まりの先の堂山には神社が祀られ石塔群が所狭しと並んでいる。それを過ぎると「洞山」と呼ばれる島がある。堤防を越えて歩いて渡る。干潮の岩の乾いた時でないと足が滑って危ない。ちょうど良い時間で洞を間近で見る。落石の恐れから洞の回りはコンクリートで固められて少し興ざめ。洞の上の松は青々と伸びている。 | |||
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汐干潟づたひに洞へ歩けると 光子 島山の延命地蔵花あざみ 由紀子 潮引いて渉れる島や花あざみ 由紀子 洞窟の下に残花の舟溜まり 真理子 |
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また「とと市場」に戻り、デッキもある珈琲店「焙煎屋」にて10句の句会。デッキも気持ちよさそうだが、他の人が入って来ないので音楽を聴きながら珈琲の香りの中で行なう。 | |||
うららかにコーヒー豆を煎るにほひ 光子 | |||
折尾駅まで車で送り解散。 | |||
![]() ![]() 【「洞山」の洞穴:他HPより】 |
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