吟行記 【平成23年6月号】 |
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第82回 平成23年5月13日(金) | |||
参加者 佳与子 真理子 由紀子 | |||
金比羅池・夜宮公園(北九州市小倉北区・戸畑区) | |||
朝日新聞の北九州版に金比羅池の軽鴨の親子のカラー写真が載った。親鴨に寄り添う子鴨の姿は何とも愛らしい。今月の吟行地をどこにしようか考えあぐねていた時だったので、すぐここを候補に上げる。佳与子さんはご自宅に近いので賛成。真理子さんには遠出になると思ったが、金比羅池は初めてらしく賛成。此処に決定。 5月13日、八幡駅で真理子さんを、高見のマンション前で佳与子さんを車に乗せ、三人で新緑の金比羅池に向う。まだ緑色した羊蹄の花やシロツメグサの丘には何人かの作業員が草を刈り込んでいる。その中を抜けて池に下りて行く。池には浮島もあり、鷭の親子も見え隠れしている。見物の人たちが投げる餌に鴉や鳩も群がり鳴声が騒がしい。写真に掲載された通りに、二組の軽鴨の親子が水辺に構えてシャッターチャンスを狙っているカメラマンたちを喜ばせるかのように自在に動いている。 |
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バリカンで爪草刈られゆく手入れ 真理子 軽鴨の子の一羽離れて覚束な 真理子 離れたる軽鴨の子一羽すぐ戻り 由紀子 鯉泳ぐ上を軽鴨の子一列に 由紀子 軽鴨の子の動けば動く人の列 由紀子 軽鴨の子の青き水掻よく動き 由紀子 |
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人馴れした鷭や軽鴨の親子に餌を撒くと争奪戦が始まる。軽鴨の子は、すでに自分で餌を突き、鷭の嘴から奪い取りもしている。青鷺はこの様子を他人事のように顔を横に向け、亀はゆっくり動いている。 浮島を中心に池の三分の一くらいに鳥たちが集まっている様子を、カメラマンたちは角度を変えながらシャッターを押している。いつも会う人たちなのか和気藹々に話し込んでいる。この金比羅池の水鳥の写真は、いつも同じ男性が投稿しているようで、一年を通して新聞に掲載された写真を掲示板に貼っている。 |
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かるの子のひょいとくすねし鷭の餌 佳与子 かるの子のあるかなきかの水脈を引き 佳与子 軽鴨の子の鷭の嘴より餌奪ひ 由紀子 荷崩れのように亀落つ青嵐 真理子 すべり落つ亀次々と池日永 佳与子 |
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水鳥から離れ池の回りを散策する。東側の新緑の向こうには「交通公園」や「到津の森公園」、西側には頂上に神社を祀っている金比羅山、その近くには美術館の森が広がっている。気持ちのよい新緑の風に吹かれながら土手の上にある小池を覗いてみる。水草の多い小池には目高が泳いでいる。オタマジャクシがいないか目を凝らしてみたが見当たらない。睡蓮の花が一輪開き、睡蓮と葦の間からは鷭の子がスッと寄ってくる。昼時になり草刈りの作業員たちは休憩しているのか、池は囀りの声がよく響く。近くの和風レストラン「石蔵」で昼食。 | |||
若葉風スカーフ首を離れけり 真理子 | |||
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ここから車で10分程の夜宮公園に向う。ナンジャモンジャ通りの花は殆ど散り、わずかに白い花が咲き残っている。夜宮公園といえば花菖蒲の名所だが、まだ花の時期には早すぎ、20センチほど葉が伸びている。菖蒲池も菖蒲畑にも作業員が黙々と草取りをしている。手入れあってこその美しい花だ。 この公園も花楓や楠若葉、葉桜など新緑に囲まれての森林浴を楽しむ。 |
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水嵩を計り手入れや菖蒲池 佳与子 棕櫚の花少し汚れてゐしごとく 真理子 棕櫚の花皿倉山をまなかひに 由紀子 |
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公園横の「明専会館」にて句会。昼時をすぎたレストランには、老夫婦らしいカップルが一組静かに食事しているのみで、芝生の庭園をみながらゆっくり句作、句会。三人ではあったが、軽鴨の親子の可愛らしい泳ぎと新緑を満喫したよき日でした。 | |||
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