吟行記 【平成25年1月号】 |
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第101回 平成24年12月7日(金) | |||
参加者 勝利 佳与子 節子 真理子 光子 由紀子 | |||
貴船神社・レストラン「公孫樹の木」(北九州市八幡西区) | |||
酷暑の夏が過ぎると、秋は短く寒い冬となった。11月下旬から冷え込みだし、12月はほとんど10度前後の気温が続いている。例年通りの気温なのだが、地球温暖化が盛んに言われている昨今、たまには暖かい日があればいいのにと思う寒さである。特に日本海側に面した北九州の冬の空は、いつもどんよりと曇りがちで、すっきりと晴れた日が少ない。せめて皆で集まって楽しい一日を過ごせることが出来ればと忘年句会を企画する。 | |||
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12月7日、10時30分を目安に八幡西区鳴水にあるレストラン「公孫樹の木」の駐車場に集合。開店は11時30分だが、場所が分かり難く、駐車場が停め難い。看板はあって無きがごとくの小さなものなので、初めてだと入口が分からない。初めて訪れた二年前、友人の運転する車は地図を見ながら行ったにもかかわらず、この辺りをぐるぐる回り、とうとう郵便局で道を聞くはめになってしまったことがあるので、今回早目の集合にして、食事前に周辺の散策とした。 節子さん、真理子さん、光子さんを乗せ、黒崎駅から直行する。野田夫婦の車もすぐに到着し、全員参加の忘年吟行句会を喜び合う。 |
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暖房に慣れて寒しや降車駅 節子 何はさておき年忘れいそいそと 節子 十字路の多きこの道石蕗の花 佳与子 |
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黒崎駅から10分ほどの鳴水地区は低い山の迫った古い住宅街で、道が狭く坂がかっている。レストランの手前にある神社を吟行しようと少し坂を下る。神社への石段は急だが、あの木この草と手に取りながら、おしゃべりしながらゆっくり上る。この貴船神社の由緒案内を読み、境内を見て回る。といっても、こじんまりとした境内に人気はなく、建替えられたのか比較的新しい本殿と神輿倉とブルーシートで覆われた土俵らしきがあるのみである。神輿二台が硝子越しに見える。本殿の裏手の小山に上っていくとお墓がある。神社の奥に平等寺という寺があるからであろう。境内を覆う大木に「猿のこしかけ」が生えているのを見つける。 | |||
冬陽差す向うの道へ渡りなむ 勝利 社へと急な階段枇杷の花 佳与子 シートかけられて紅葉の散る土俵 節子 神輿倉狸眺めてをりそうな 光子 目につきし猿のこしかけ冬ぬくし 由紀子 |
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食事の予約時間が近づいてきたので、神社のゆるやかな坂道を下り、道沿いの駐車場から銀杏のまっ黄色の落葉の庭を見下ろしながらレストランに入る。この建物は、八幡製鉄所の会長だった人の邸宅だったとネットに書かれているが定かではない。違うにしても丘陵を活かして建てられた屋敷は池や築山を配して、なかなかの豪邸である。店名が「公孫樹の木」というだけあって、真ん中の銀杏大樹が目を引き、散り切った黄葉は絨毯の如くである。水車は景観のためだけではあるが、川からの水を汲み上げ廻っている。夏には、この辺りに蛍が舞うそうである。 | |||
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竹樋の朽ちなんとして寒の水 勝利 音もなく廻る水車に銀杏散る 佳与子 極月の川を流れてゆく芥 由紀子 点景の水車気になる時雨かな 真理子 にじり口銀杏落葉に閉ざされて 真理子 プロパン車来てゐる厨年用意 真理子 ほたる棲む川にも銀杏散り込みて 光子 |
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レストランの中も広く、テーブル席は二部屋の広間の窓際のみに置かれている。どの窓からも庭が見えるようになっている。個室もいくつかあり、そこからも各々庭が見える。落ち着いた雰囲気の部屋にくつろぎ、さっそく料理をいただく。時折隣の部屋からも笑い声が聞こえてくる。どの席もどの部屋も女性客で埋っている。 | |||
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どの部屋も声高らかに年忘れ 光子 笹鳴の傍にしばらく居ることに 節子 どの会もそれぞれ大事年忘 真理子 |
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ランチタイムの終わる15時までに句会ができるかどうか微妙だが、少し庭を散策して句を拾う。部屋から見える庭に廻ると、山なりの木立に千両の赤い実や石蕗の花の黄色が目を引く。人が歩けるように階段状になっている径は、あまり陽が差さないので湿った落葉に足が滑りそう。早々に銀杏の庭に戻る。 時間内になんとか句会を終えたものの、食事の片付けなどの慌しさが残るものだったので、黒崎駅横の井筒屋デパートの甘味処「さくら庵」に寄り、句評を交えた雑談で忘年句会を終える。 無事に楽しく1年を過ごせたことに感謝!! |
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