吟行記 【平成25年10月号】 |
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第110回 平成25年9月6日(金) | |||
参加者 勝利 佳与子 節子 光子 真理子 由紀子 | |||
皿倉山山頂(八幡東区) | |||
暑というより酷暑は、まだまだ続きそうだ。暑さ疲れもピークになる頃なので、吟行地を涼しい皿倉山にする。 約700メートルの山頂まで歩けば大変だが、車、ケーブルカー、スロープカーを使えば、誰でも楽に山頂からの景色を楽しむことができる。11時ケーブルカー山麓駅に集合。家庭の事情で遅れて到着した私は、13時に山頂レストランで合流。久々に全員参加の吟行となる。下界よりも涼しい風に、皆元気で明るい。 |
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![]() ![]() 【ケーブルカー山麓駅】 |
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ふうわりと蝶迷い出で女郎花 勝利 ケーブルにふるる高さに女郎花 佳与子 山頂に石の祠や昼の虫 佳与子 製鉄の工場の屋根秋の晴 節子 山道を隠す芒を掻き分けて 節子 ケーブルの運転台に秋団扇 節子 標識の杭古びたる芒原 光子 秋草の野の一隅に祠あり 光子 吾亦紅昨日の風に傾ぎをり 光子 雲の峰登らんとする山仰ぎ 由紀子 |
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![]() 【展望台よりの眺望】 |
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山頂の展望台から北九州の街を眺めたあと、電波塔周辺や国見岩まで行ったらしい。山頂からの景色は、いつ見ても気持ちよい。この辺りだけでも十分な吟行だが、この帆柱山系の見どころにもなっている「皇后杉」まで歩くことを提案すると皆快諾してくれる。 スロープカーで山頂駅まで戻り、さっそくビジターセンター方向へ歩く。ビジターセンターの管理人に聞くと、「皇后杉」まで20−30分はかかるという。一瞬句会の時間を考えたが、権現山方向の「皇后杉」まで、こういう時でないと行くこともないので決行する。秋草の生い茂った野外音楽堂を通り過ぎると広場(皿倉平)に出る。左に行くと「薬草園」、右に行くと「皇后杉」。リュックを背負ったハイカーが一人、二人とそれぞれに歩いていく。この帆柱山系の山々は、縦走道がいくつか分かれて、河内貯水池や畑貯水池に下りることができる。 |
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![]() ![]() 【スロープカーと野外音楽堂】 |
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葉を鳴らす風の道あり山の秋 光子 秋草に埋もれ野外音楽堂 光子 昨日とは違ふ山河や野分あと 由紀子 蚊遣香さげて登山の客らしき 佳与子 山頂に残る秋草かがみ見る 佳与子 秋天へ羽根の破れし黒揚羽 勝利 |
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「皇后杉」へは、整備された道の上の脇道を歩かねばならない。前日に雨が降ったせいもあって、径は湿っており、尚且つ山の斜面から清水のように流れ落ちている箇所もある。鬱蒼とした径を歩くと、頭上から鳥の声。鳥に詳しい節子さんは、「多分相思鳥だろう」と言いつつ、鳥の声に呼応にて鳴き声を真似る。するとまた鳥が鳴く。誰もいない薄暗い山の中で、何か心和む。 | |||
鳥寄せの口笛吹いて爽やかに 真理子 相思鳥しば鳴く山の秋澄みて 真理子 相思鳥鳴き交はす空秋の山 節子 口笛を吹けば答へる小鳥ゐて 節子 |
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![]() ![]() 【皇后杉とキャンプ場】 |
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ようやく「皇后杉」に辿り着く。一本ではなく何本もある。正確には皇后杉林。高々と杉林が広がっている。 その中の一際大きな老杉には、注連縄が掛けられている。北九州には神功皇后伝説が多く残されていて、この皿倉山も、神功皇后が切り立った崖の上から夕暮れまで国々を眺め、下山の際に「更に暮れたり」と言ったことから、更暮山・更暗山と転じ、更倉山になったとされ、また朝鮮出兵の際に、船の帆柱をこの山から切り出したことから、この下の山を帆柱山と呼ぶようになったと伝えられている。この故事からこれらの杉の巨木も皇后杉と呼ばれているが、実際には福岡藩による造林で、樹齢200−400年らしい。 |
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秋冷の皇后杉といふが立つ 真理子 近づけば木の上からも虫の声 勝利 |
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皿倉平まで戻りベンチに座り休憩。まだまだ葉は色づいていないが、赤い実をたくさん付けた木が目につく。名札には「ヤマボウシ」(食用)と書いている。我が家にも植えている木だが、食べたことはない。恐る恐る口にすると、柿のような甘みが口にひろがる。アケビ蔓やむかご蔓が木々に絡まっている。秋の山路は木の実の宝庫。ビジターセンターに戻る径に、それらを見つけながら秋を満喫する。 | |||
![]() 【ヤマボウシの実】 |
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見るたびに姿を変えて秋の雲 節子 しばらくは花を離れず秋の蝶 勝利 聞こえないふりしてむかご蔓を引く 由紀子 開け放つビジターセンター蝉時雨 佳与子 |
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ビジターセンターにて10句の句会。帆柱自然公園愛護会が運営しているので、センターは登山者にとって情報を得たり、休憩や会合など自由に出入りでき、鳥や花の説明をしてもらえる便利な場所だ。16時30分閉館の為、句会途中でケーブル駅に急ぐ。 下山して山麓駅内のテーブル席で句会を続ける。とりあえず互選を終えるが、得点句の講評途中に、最終のシャトルバスが出発しそうだったので、あわてて解散。なにがどうしたか分らないままの解散となったが、秋の山に句を作りあげて満足の一日だったことは確かだ。 |
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![]() ![]() 【ビジターセンター】 |
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