吟行記 【平成25年12月号】 |
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第112回 平成25年11月14日(木) | |||
参加者 勝利 佳与子 節子 真理子 光子 由紀子 | |||
到津の森公園(北九州市小倉北区) | |||
雨の予報だった11月14日は、朝から晴れて小春日和となった。11時「到津の森公園」玄関で集合。今回も皆に遅れての参加となり、西小倉よりタクシーで公園の玄関まで行く。皆は、入口近くの猿山やロバ、山羊などの「ふれあい動物園」を眺め、作句をしている。 | |||
![]() ![]() 【公園入り口と猿山】 |
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小春日の動物園やゲート開き 節子 ストーブの前に寄り添ふ猿二匹 節子 山茶花の花を潜りて猿山へ 節子 猿山の猿そこ此処に日向ぼこ 節子 掴みたる芋の蔓むしる猿の子 真理子 猿山の湯つぼからっぽ小六月 真理子 ロバの耳やっぱり太き花八手 真理子 両手足だらりと猿の日向ぼこ 光子 綱渡る猿秋天に手を伸ばし 佳与子 代替りしたるボス猿園小春 佳与子 |
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合流できるのを待っていてくれたようで有難い。12時前で、これから象、ライオンなど園内の動物たちを見て廻るとのこと。園内放送で、チンパンジーの餌やりの見学案内しているので、ゆっくり周りのエリマキキツネザルなどの檻を覗きながら、チンパンジーの部屋の方へ行く。少し紅葉が始まっている園内は、紅葉より石蕗の花が盛りで、檻の中にも道々にも黄色の明るさが目立っている。 | |||
![]() ![]() 【紅葉より盛りの石蕗の花】 |
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モノトーンとなりし景色に石蕗の花 勝利 咲乱れるとは云わざり石蕗の花 勝利 どこにでも石蕗の花咲き遊園地 佳与子 つわぶきの花をぐるりと象の檻 節子 はたはたと動いて象の耳小春 由紀子 花石蕗の影に虎居る寝ておりぬ 由紀子 虎のふと首を上げたる落葉かな 真理子 |
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![]() ![]() 【像とチンパンジー】 |
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虎は檻の奥で座り、象はシッポや耳を動かしながらのっそり歩き、時折糞尿をしている。ここでは象に餌を買って自分で食べさせることができる。小さい子どもがお母さんと一緒に餌やりしているのは微笑ましい。 そろそろチンパンジーの餌やりの時間。すでに親子連れや若いカップルたちも集まっている。透明のアクリル板の向うに5−6匹いたと思う。女性の飼育員が餌かごを持って中に入ってくると、チンパンジーたちはじっと見ている。飼育員は薄く切ったバナナやりんごをアクリル板に上に下にと貼りつけて行く。みかんは食べやすいように切って木の枝の間にばら撒いている。岩の天辺の小さな穴には「はちみつ」を流し込んでいる。チンパンジーたちは、手の届く所の果物を食べたり、手に持ちながら反対の手で大きくジャンプして上の果物を次々にゲットしていく。アクリル板の餌は全てなくなり、餌を握りしめて四方に散らばり食べ、はちみつを見つけたチンパンジーは、木の枝でほじくるようにして美味しそうに口に入れている。なかなか枝の使い方が上手い。 |
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宙吊りのリンゴに猿の大ジャンプ 佳与子 | |||
こちらも12時を過ぎ、お腹もすいてきたので、レストラン前のテーブルに陣取ってそれぞれに持ってきたおにぎりや弁当を食べる。風もない穏やかな日和で、外での弁当が格別に美味しい。 近くの「こども汽車」や「サイクルモノレール」が動き、午前中は動いていなかった観覧車も動いている。芝生広場に幼稚園児の集団の姿はなかったが、広場は思いっきり走り回れる場所で、遠足にもってこいの園である。この到津の森公園は木が多く、動物たちは出来るだけ自然なかたちで飼育されている。目の前のキリンは父親キリンで、少し離れた柵の中に母親キリンと子どもキリンが餌の木の葉を食べている。その奥にシマウマの姿も見える。 |
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![]() ![]() 【レストラン&キリンの親子】 |
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小春日や麒麟の長き睫毛にも 勝利 頬寄するキリンの夫婦薄紅葉 由紀子 獣園の匂ひにも慣れ冬ぬくし 由紀子 やうやくに午後晴れし冬観覧車 光子 |
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最近生まれたライオンの子を見ることができるというので、檻の前に行くと、ライオンの母親が座り心地のよさそうな岩の上に座り、こちらをじっとみている。動じることのない姿はさすがだ。子どもライオンは6ヶ月目で30キロ。名前は「ちゃちゃ丸」 飼育員は、こちらが質問をすれば丁寧に答えてくれる。愛情いっぱいに育てたライオンの子を見る目がやさしい。母親ライオンの座っている岩には、暖房用ヒーターが施されている説明にも納得。気持ちよさそうな目をしている。 | |||
![]() 【暖房用ヒーター岩上のライオン】 |
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小六月赤子ライオン足太く 勝利 お披露目の子供ライオン小六月 佳与子 ライオンの岩暖房も仕込まれて 佳与子 キリンの子ライオンの子も紅葉中 光子 ライオンの母は動かず冬ぬくし 真理子 |
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色彩豊かなインコなどを見ながら、近くで吠えているフクロテナガザルの檻まで行く。この猿が泣かなかったらこの園は静かだろうと思うほど、その声は園中に響くが、吠え方に愛嬌があるので、つい泣かせてしまいたくなる。 | |||
![]() ![]() 【インコとフクロテナガザル】 |
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吠猿を鳴かせ獣園小六月 由紀子 輪唱のごとく鳴く猿園小春 由紀子 ふり向きし猿の目ひかる冬の檻 由紀子 どの檻の中にも冬日さしてをり 由紀子 冬の日の差し始めたる猿の檻 節子 |
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池の傍にある長椅子に座って句作。南ゲートの貸切バス駐車場近くの「子どもホール」にて10句の句会。 閉門の時間が近づいたので、普通車駐車場の北ゲートへ向う。途中のバードケージに鴛鴦を見ながら夕暮れの近くなった園を後にした。 |
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終業を待つ職員ら落葉掃く 節子 十ばかりフラミンゴゐる薄紅葉 節子 賑やかに鴛鴦池の飛沫上げ 節子 閉門の迫りし園の落葉掃く 佳与子 閉門を急ぎながらに鴛鴦見たく 由紀子 |
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![]() 【園内風景】 |
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