自選句
【平成20年10〜12月号掲載】 |
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<平成20年12月号掲載> |
「平成20年11月投句より」  |
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節子 |
由紀子 |
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神官に切ってもらいし鹿のえさ |
栗の毬隅に積み寄せ山の家 |
丈低きままにひつじ田黄葉して |
背山よりひきし湧水今年酒 |
潮干けば竹瓮仕掛けに来る男 |
明らかに我にある非の冬の雲 |
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真理子 |
光子 |
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宝満山五合目までも時雨雲 |
爪立ててみし橘の香の強く |
餌のすみし鹿それぞれに戻る場所 |
秋茄子の採られぬままにくねりたる |
かりそめの行者姿の時雨れ行き |
ダマイ・ラマ冬めく街に朱の衣 |
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佳与子 |
聖子 |
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まげに挿すかんざし二つ七五三 |
傘一つ時雨れ来し身を寄せ合って |
がさごそと動くものあり竹瓮揚ぐ |
犬難儀取っても取ってもいのこずち |
大菊の箍のゆるみをしめ直す |
初冬や勤行の僧凛として |
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2008Top |
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<平成20年11月号掲載> |
「平成20年10月投句より」  |
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聖子 |
佳与子 |
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底深く河口流れ出る秋の潮 |
ごんずいのひげを数えて水の秋 |
秋祭り献上帯の徒歩参り |
小走りにきては鶫の立ちどまり |
秋蝶の飛ぶといふより流されて |
迷うことなきコスモスの迷路かな |
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節子 |
由紀子 |
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気がつけば雲みな消えて秋の空 |
釣糸の先見えている秋の川 |
縄はってありし流鏑馬秋祭 |
潮引けば渡れる島や新松子 |
猪の歩いたらしい山道を |
秋晴れやドジョウ動かぬ水の底 |
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真理子 |
光子 |
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雲割れて谷の舞台へさす秋日 |
小屋掛くる薩摩ことばや秋祭 |
問いかけに無言小鳥の声降りて |
コンビナート灯りに白き十三夜 |
ここにまた釣舟草の濡れており |
月の波月の砂漠を歌ひつヽ |
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2008Top |
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<平成20年10月号掲載> |
「平成20年9月投句より」  |
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光子 |
真理子 |
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自転車屋結構繁昌秋暑し |
二度目とは萩のこぼるヽ高台寺 |
鰯雲拾ひしボール投げ返し |
男山近くに見えて竹の春 |
家守る嫁とし吾亦紅生けて |
片羽を扇の如く開く鴨 |
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聖子 |
佳与子 |
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男には似合わぬ絵柄秋扇 |
庭先に月見の椅子をふたつほど |
干し芋茎薄く緑の色残し |
緋鯉より真鯉小さく池の秋 |
秋暑し忘れ置かれし上着あり |
露草のうすむらさきの雫かな |
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節子 |
由紀子 |
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対岸はいまだ残暑の中にあり |
たばこ屋を曲がれば路地の秋の風 |
六艘のボート繋がれ流れをり |
杖失せし空也立像秋の蝉 |
秋扇父の名前が書いてあり |
走り根の陰より動き穴惑 |
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