自選句
【平成21年1〜3月掲載】 |
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<平成21年3月掲載> |
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「平成21年2月投句より」  |
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由紀子 |
節子 |
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洋館に煙突三つ寒の晴れ |
豆を撒く声護摩堂に雨の寺 |
大仏の裏の地獄絵春を待つ |
ほら貝に始まる寺の節分会 |
勤王の尼の庵や野水仙 |
香の浅きハーブ花壇や春を待つ |
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光子 |
真理子 |
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かささぎの枝折る音の冬空に |
篠竹の茎のあらわに春寒し |
福豆は奪ひ取るもの福は内 |
正座して望東尼偲べり梅の庵 |
ひととせをめぐりて梅のつぼみして |
道曲りゐて山荘の梅盛り |
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聖子 |
佳与子 |
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春時雨古りゆくままの時計塔 |
山笠を飾り櫛田の追儺かな |
春浅し発声練習する鴉 |
丁重にシェフの挨拶花ミモザ |
幼な子に手渡す如く豆を撒き |
草庵の庭とは小さ梅匂ふ |
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2009Top |
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<平成21年2月掲載> |
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「平成21年1月投句より」  |
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佳与子 |
聖子 |
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結界の注連より高くどんどの火 |
帰郷して俄か百姓冬大根 |
簡単な神事ありけりどんど焼き |
元旦にお喰ひ初めとか孫便り |
男の子搗く女の子まるめしお餅かな |
川の字に犬も並んで寝正月 |
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由紀子 |
節子 |
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陰陽の宝珠を拝し年迎ふ |
かき上げる時に鈴の音どんどの火 |
四方に張る注連を揺らしてどんどの火 |
目立ちゆく献上博多宵えびす |
岩礁に尖る白波風花す |
進み行く列車の影や冬田中 |
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光子 |
真理子 |
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先ず道をつけて迎ふる賀客かな |
御神火の静かに移るどんどかな |
この小径あの路地も好き冬ぬくし |
氏子等の狩股休みなき左義長 |
手のひらにのせくれし柊の花 |
吹き上がる冬波スローモーションに |
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2009Top |
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<平成21年1月掲載> |
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「平成20年12月投句より」 |
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真理子 |
光子 |
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冬凪の湾出てゆきし定期船 |
炉火に落つ味噌の匂ひや山の宿 |
物産の民芸テーブル炉に灰も |
湯呑み置き炉の火を埋けて一仕事 |
炉の火種煙管に吸ひて好好爺 |
みちのくの駅の待合炉を囲み |
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佳与子 |
聖子 |
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絵本読む子の傍らに柿を干す |
熱燗を頼んで窓を開け放ち |
白鳥と見まがうブイや冬ゆくし |
炬燵にて眠る高野の寺の宿 |
このところひばりの歌を焼藷や |
バス揺れて毛糸帽の子又眠り |
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由紀子 |
節子 |
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花八つ手ノミの跡ある切通し |
冬の日の落つ能古島志賀島 |
冬晴れや板の如くにのっぽビル |
消えかけの有明の月冬の空 |
炉明りに仄と志功の菩薩の絵 |
突堤につい座り込み冬ぬくし |
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2009Top |