自選句
【平成21年4〜6月号掲載】 |
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<平成21年6月掲載> |
「平成21年5月投句より」  |
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節子 |
由紀子 |
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お旅所へ対岸までの川渡り |
山車十基通りし後の紙吹雪 |
神輿待つ対岸すでに賑わいて |
鍬少し錆て卯の花腐しかな |
あばれ山笠馬簾飛び散る河川敷 |
鉄橋の上へ下へとつばくらめ |
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真理子 |
光子 |
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彦山の水堰きありし祭川 |
納屋口に藜の杖を立てかけて |
若蘆の鉄橋一両電車ゆく |
採石の山直線に若葉風 |
祭露地裏に上方香具師らしく |
競ひたる山車のがぶりの笛激し |
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佳与子 |
聖子 |
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紙吹雪水にたゆたひ祭りあと |
囀りや鴉来たりて変調す |
傾ける山笠に舁き手に川しぶき |
ひたすらに青葱刻む初鰹 |
母の日を母となりたる娘より |
張りぼての鯉も兜も初節句 |
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2009Top |
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<平成21年5月掲載> |
「平成21年4月投句より」  |
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聖子 |
佳与子 |
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花飛ぶと見えし黄蝶の翻る |
石あれば石の形に花の屑 |
見ゆるもの花屑ばかり高瀬川 |
おずおずと甘茶二杯目申しでて |
迷ひ来て老夫に会ひし花の道 |
花ねぎや寅さんふらと出てきそう |
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節子 |
由紀子 |
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せせらぎは花の流れとなりにけり |
石楠花や鎖伝いの岩の径 |
列車待つゼロばんホーム花の駅 |
水に浮く御籤大吉花筏 |
寝仏の足ふくよかに春風に |
郵便車まだ見えている葱坊主 |
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真理子 |
光子 |
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賽銭の籠に米粒花屑も |
安達太良の山にも白く残花かな |
旅終えし前山すでに懸り藤 |
トンネルを抜けるたび濃く春の闇 |
鷭のひな親指ほどの羽根上げて |
乗り換への階段駆ける麦青む |
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2009Top |
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<平成21年4月掲載> |
「平成21年3月投句より」  |
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光子 |
真理子 |
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春の水濁して鯉の大ジャンプ |
からたちの棘を育む春の風 |
みな傷を負ふて咲きたる山椿 |
四つ手網かかりし水の朧かな |
開かむとする意志翅に蝶生る |
ひもすがらゆく舟ながめお雛さま |
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聖子 |
佳与子 |
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春暁の中ひっそりと四手網 |
差して引くたびに舟棹春の水 |
枯れ枝と見へし先にも花の色 |
蜷の道ぶつかりあうて途切れけり |
名残り雪降りし比叡の今朝晴れて |
差し交わす枝をくぐりて雛の舟 |
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節子 |
由紀子 |
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芽柳の堀まで届く川下り |
川下る舳先は温む水を分け |
諸葛菜掘割に向く裏庭に |
川下る舟は雛の館まで |
舟から見舟を見てをる柳の芽 |
茎立の畑に重たき鍬を入れ |
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2009Top |