自選句
【平成21年7月〜9月掲載】 |
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<平成21年9月掲載> |
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「平成21年8月投句より」 |
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由紀子 |
節子 |
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街一望涼風抜けし国見岩 |
白粉の花の香しのびよる窓辺 |
ケーブルカー一直線に夏山を |
踊り手の去りし座敷の広さかな |
大夕焼干潟の鳥の影冥め |
スロープカー気温差五度の涼しさへ |
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光子 |
真理子 |
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お手玉の中の小豆の手に重し |
風車はるか皿倉山の老鴬に |
兄弟のみな似て来たる墓参かな |
流れくる雲につつまれゐて日焼 |
山深き淵の碧さや秋立ちぬ |
新涼や浮く雲の下雲ながれ |
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聖子 |
佳与子 |
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睡蓮のぎっちりと池覆いたり |
蝉の穴どれもきれいな形して |
目の端に蚊を見て以来落ち着かず |
母よりも姑との月日韮の花 |
夜濯を今日一日の終わりとし |
読経する尼美しき流灯会 |
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2009Top |
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<平成21年8月掲載> |
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「平成21年7月投句より」 |
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佳与子 |
聖子 |
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火袋に背ナをまるめて梅雨の猫 |
追い山笠の前夜眠らぬ人の群れ |
役職の札貼り出され祭路地 |
解きかけの露店にも客山笠の朝 |
手のごいと博多ではいふ祭かな |
噴水に突進する子も逃げる子も |
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由紀子 |
節子 |
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電話待つ目高の鉢をながめつヽ |
飾り山夜明け前には解くという |
追い山にカメラのピント合わぬまま |
大樽に水溢れさせ山笠を待つ |
勢い水掛ける祭りの人となり |
熟れているトマトまで手が届かない |
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光子 |
真理子 |
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雪渓を抱きし山の朝日かな |
夫婦して山笠休暇願へりと |
清道旗笹も新たに雲の峰 |
火の粉散る鵜川の闇の深さかな |
あかつきに山笠解かれ博多かな |
宇治川の女鵜匠とや面ほそく |
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2009Top |
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<平成21年7月掲載> |
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「平成21年6月投句より」  |
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真理子 |
光子 |
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鯨塚といふもの梅雨の網屋町 |
旅薄暑バッグはライムグリーンに |
おきうとの梅雨の店先開け放ち |
古着また解きたる母の更衣 |
砂浴びの雀また来て五月晴 |
我がままに生きること出来風薫る |
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佳与子 |
聖子 |
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箱崎に鯨の墓標額の花 |
動く子の手を握りしめ菖蒲園 |
枝つきの枇杷を山積み小商い |
緑陰や時折鳩の声低く |
梅雨深し鯨の墓に手を合わせ |
房なして青きトマトの実りをり |
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由紀子 |
節子 |
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株ごとに括る紫陽花花まつり |
うつむいて菩提樹の花静かなり |
もう風にさやぎてをりぬ今年竹 |
菩提樹の枝を広げて寺の梅雨 |
ポストより取りし朝刊時鳥 |
妹の夢の続きよ薤漬る |
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2009Top |