<平成17年4月〜6月掲載>   


<6月掲載>

「平成17年5月投句」より  

聖子 野あざみのいかにも多し山の道 由紀子 保存樹の大木なりし藤の房

夏風邪の友と二人のハーブティー

レトロ館昼を灯して夏の潮
仄暗くして入る昼の菖蒲の湯 灯台に広がる灘の大霞
節子 夏めいてもつれしままのネックレス 光子 藤棚のこぼす光の中にいて
小さき地震ありて突然雹も降り 窓をあけ夏めく海の風入れて
護岸より下りる石段夏潮に 大時計振り子ゆっくり夏の午後

<5月掲載>

「平成17年4月投句」より

光子 指先の荒れを茶摘女はにかんで 聖子 春愁に化粧もせずや薄き眉
六歳の恋占いや草若葉 まだ次の春ある我と思えども
ひとひらの花のゆくえをみとどけて 茹で水の色みどり濃き土筆かな
節子 行き先を決めかねている花一片 由紀子 行く人の皆仰ぎたる落花かな
この部屋に確かに一匹春の蝿 自転車も砂場の子等も花の中
花韮のまわりきれいに刈りとられ ベビーカー降りて歩く児草若葉

<4月掲載>

 「平成17年3月投句」より 

由紀子 春雪が枝の雫となって昼 聖子 水仙の花打ちしだき春嵐
生け花の花材の一枝挿木する 夢の路往きつ戻りつ春の朝
つながらぬ地震の電話春寒し 地震今も揺れて香るや沈丁花
光子 土人形紙人形も雛の段 節子

挿木して待つということ覚えけり

北国の沼なり遅き蘆の角

箒目のしっとり濡れて春の雨
正面に海を見据えて椿咲く

白波を消して湾内春の海