自選句
【平成22年1〜3月号掲載分】 |
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【平成22年3月掲載】 |
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「平成22年2月投句より」  |
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由紀子 |
節子 |
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掌にあまる一花の落椿 |
護摩堂に歳徳神の大唱和 |
水煙に梅匂い立つ国分寺 |
落椿つなぎて花の首飾り |
雨雫宿したままに落椿 |
初午のバス大鳥居くぐり抜け |
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光子 |
真理子 |
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拾ひたる穂俵波に洗ひけり |
面白き法話に集ひ一の午 |
マニキュアの色に迷ひて浅き春 |
夜鳴きせる犬にいかがや二日灸 |
一幕見待つ人の背に春の雪 |
白梅を吸ふは煙草と思はずに |
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聖子 |
佳与子 |
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もういいかバレンタインは日曜日 |
寒牡丹こんなに硬きつぼみとは |
縁切りも縁の結びもある梅に |
雨かとも思ひし梅のしずくかな |
神殿の階駆ける鬼やらひ |
節分や御福の面をくぐり抜け |
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2010Top |
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【平成22年2月掲載】 |
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「平成22年1月投句より」 |
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佳与子 |
聖子 |
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手拍子を客にも請ふて猿廻し |
足るほどにおでん炊くなり子の帰郷 |
御神馬の留守の厩や寒の入り |
寒の雨だんだん強くなる気配 |
寒灯をともせしコード杭を打つ |
初詣遅き歩みの太鼓橋 |
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由紀子 |
節子 |
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福引に当てし一升を抱え来る |
丁度よき小雨の中のどんどかな |
くつろぎて鴨居に掛けし毛皮かな |
山積みの飾り次々投げ込まれ |
藁笠に天衣を解く冬牡丹 |
西空に寒月細く尖りたる |
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光子 |
真理子 |
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立たなむと己鼓舞して二日かな |
子猿の名太陽といふ雪舐めて |
風花の参道となる天満宮 |
太鼓橋渡りゆく笑み着ぶくれて |
笑ひ初め笑ひ通せし句座なりし |
ひと葉なきひろ葉ちしゃの木寒に入る |
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2010Top |
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【平成22年1月掲載】 |
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「平成21年12月投句より」  |
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真理子 |
光子 |
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一盃の酒に六女年忘 |
二羽づゝと見えなくもなく鴨の陣 |
捌かれて海鼠腸花のごときもの |
蔓荊の実に香りあり冬の浜 |
読書録記せし父や漱石忌 |
店番は御内儀一人雪もよひ |
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佳与子 |
聖子 |
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舌先にはじけるお菓子小六月 |
風邪引きのかすれし声の艶めきて |
川端に寄せて師走の荷をおろす |
大潮に渡る宮島冬の月 |
海鼠腸の熟成三日云々と |
苦も楽も折り合ひつけて年の暮 |
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由紀子 |
節子 |
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人気なき朝の花街に風花す |
街なかの運河に溶けてゆく小雪 |
冬帝や酒蔵の湯気上りゆく |
集合の博多駅前着膨れて |
さよならを言わぬ別れよ冬珊瑚 |
お勝手の抽斗にある寒さかな |
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2010Top |