自選句
【平成22年4〜6月号掲載】 |
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【平成22年6月掲載】 |
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「平成22年5月投句より」 |
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節子 |
由紀子 |
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カタカナの名前はためく初幟 |
一 村の真中たばしる雪解川 |
石炭を運びしレール草茂る |
見えをきるごとく蜥蜴のとまりけり |
ハローワークなんじゃもんじゃのバス通り |
路地薄暑手押しポンプの水弾け |
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真理子 |
光子 |
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青葉風ペンの音ふと紛れしか |
梢見て空見て春を歩きけり |
煤けたるビル窓のなりベゴニアに |
黒板の遺墨を五月の風渡る |
忍冬犬の匂ひの残る紐 |
ゆく船の吃水線高き夏霞 |
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佳与子 |
聖子 |
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迷路めく路地も鎌倉桐の花 |
空色のギンガムスカート更衣 |
名も知らぬ木々を見上げて路地薄暑 |
切り売りもしますと白きネル広げ |
子燕の嘴より餌のこぼれきし |
椎落葉未だ疫病衰へず |
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2010Top |
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【平成22年5月掲載】 |
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「平成22年4月投句より」  |
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聖子 |
佳与子 |
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このところ担がれもせず四月馬鹿 |
たんぽぽの絮吹いてみし父をまね |
井田の一つ芍薬芽吹きたる |
つちふるや箍のゆるびし寿司の桶 |
手をつなぐ夢なんか見て朝寝して |
片のれんくぐり花見の客となり |
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節子 |
由紀子 |
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たよりなく揺らす風あり榛の花 |
春光のさざ波となる山の池 |
どこからも桜の見える体育館 |
池の鯉跳ねて春日のゆらぎをり |
バドミントンコート春風しめ切って |
浮島に首伸ばす亀さくら散る |
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真理子 |
光子 |
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たんぽぽの絮をぱくりと幼き子 |
幾万の花ひらくとき朝寝して |
踏切を渡り駅まで雲雀の野 |
ライラック花下白鬚の父立ちぬ |
春疾風二両電車の来るカーブ |
問ひかけて堂々巡り花の闇 |
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2010Top |
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【平成22年4月掲載】 |
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「平成22年3月投句より」 |
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光子 |
佳与子 |
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陽炎ひて飯豊は空に浮かびたる |
白魚の不漁をかこつ日向ぼこ |
天空に残雪の飯豊浮かびけり |
幾重にも曲がる岬道落椿 |
白魚の簗八連のジグザグに |
屋根替へて美しき反りもどりけり |
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節子 |
由紀子 |
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白魚の簗まで歩く河畔かな |
土地人らし自転車籠に若布竿 |
白魚を狙うかもめの急直下 |
春疾風露店の桶を転がして |
引鴨の列長々と河口まで |
陽炎を行き花束とワイン買ふ |
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真理子 |
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島ふたつ陽炎ふ浜の砂を踏む |
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白魚の簗にうなぎも鮎も入り |
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土筆摘み水汲む文殊さまの山 |
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2010Top |