自選句
【平成22年7月号~9月号掲載分】 |
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【平成22年9月掲載】 |
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「平成22年8月投句より」  |
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由紀子 |
節子 |
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児を肩に乗せ進み入る夏の海 |
赤ん坊遠花火には興味なく |
話すこと食べること好き生身魂 |
夕支度つくつく法師忙しなく |
髪乾び炎暑の中を戻りけり |
一心に花火線香見つめる目 |
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光子 |
真理子 |
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手花火を囲む鼻緒の輪のできて |
神木の楢の大樹の蔭涼し |
皆静か線香花火するときは |
ひるがえるとき胸朱き夏燕 |
おはしょりをほどきし浴衣金魚柄 |
神域の島よく見えて秋立ちぬ |
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聖子 |
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今朝の秋稜線しかと利尻富士 |
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踊り子の指先までもたをやかに |
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阿波踊り囃し言葉も調子良く |
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2010Top |
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【平成22年8月掲載】 |
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「平成22年7月投句より」  |
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佳与子 |
聖子 |
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こもごもと虫の張り付く網戸かな |
八枚の簾を掛けて季の始め |
鳥かごを吊るす縁先蒲むしろ |
晴れ三日目の初蝉四方より |
店先の野菜引っ込め日除けして |
胡麻鯖をくれし魚屋博打好き |
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由紀子 |
節子 |
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蟷螂の子の散りぢりに蒙古塚 |
廻り止め手放しで泣く山笠男 |
磯蟹のはさみ岩場の割目より |
水城にも高速道路合歓の花 |
雲の峰飛行機雲はその上に |
日盛りの瓦を雀つーっと滑り |
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光子 |
真理子 |
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山笠走る先へ先へと勢い水 |
旅終えて梅雨の漏りなど確かめり |
山笠解いてやうやく見せし笑顔かな |
指入れて見て深かりし蝉の穴 |
鵲の木立より飛び草に跳ね |
青葉木菟見し夜の闇のふかみどり |
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2010Top |
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【平成22年7月掲載】 |
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「平成22年6月投句より」 |
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真理子 |
光子 |
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漁師等のたむろしてをり梅雨港 |
父の庭狭めて茄子の花咲けり |
梅雨じめりして鹿の角祀られて |
庭植ゑの桐の花咲き会津かな |
会釈して禰宜ひとりゐる梅雨明り |
思ひ出はジグソーパズル明易き |
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佳与子 |
聖子 |
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梅雨深し鵜とも鷺とも岩礁に |
受け継ぎし庭二百キロ実梅とれ |
黒き眼をもちて蟷螂うまれけり |
短夜や今日も隣りの犬の哭く |
寄港地を三つ経てきし梅雨の島 |
騒ぐ程鴉荒らしてをらぬ枇杷 |
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由紀子 |
節子 |
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濃あじさい島に古代の資料館 |
片陰に並ぶ団地の停留所 |
亀石というが祀られ夏の潮 |
改装のホテル入口燕の巣 |
父の日や父になる子に祝われて |
出港の船に海月の集まりて |
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2010Top |