自選句
【平成23年1月〜3月号掲載分】 |
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【平成23年3月掲載】 |
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「平成23年2月投句より」  |
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光子 |
佳与子 |
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邪の心ポロンと出たよ鬼やらひ |
ちょと面をずらし耳打ち鬼やらひ |
一日を豆撒くこの寺あの宮へ |
消えてゆく護摩火に鉦鼓鬼やらひ |
わだかまり時にゆだねて浅き春 |
立てかけし幣をゆらして春の風 |
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節子 |
由紀子 |
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一歳の子には一つの年の豆 |
なやらひの護摩の火勢のまた強く |
川沿いの梅の林が通学路 |
鋤き鍬に当たる根もあり寒肥撒く |
護摩焚きの唱名の声節分会 |
はまぐりの椀に菜を添え祝ひ膳 |
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真理子 |
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都府楼の草に残れる春の雪 |
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屋根しずる観世音寺の雪も春 |
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海見んと来たる岬の椿かな |
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2011Top |
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【平成23年2月掲載】 |
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「平成23年1月投句より」  |
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由紀子 |
節子 |
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滝の水落ちて出来ゐし薄氷 |
札取れぬ子ども不機嫌歌がるた |
よく動く嬰児の手足初御空 |
一通りトランプ花札歌がるた |
紋付鳥来ては減りをり実千両 |
掘り起こす凍土の下のやわらかく |
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光子 |
真理子 |
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校庭のたゞ広々と初雀 |
幣白き行者の滝や大晦日 |
雪折の尖りし木肌曝されて |
煙草吸ひ終へたる女またマスク |
雪あらば雪と遊んで健やかに |
母に似てきたるまなじり初鏡 |
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2011Top |
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【平成23年1月掲載】 |
「平成22年12月投句より」  |
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佳与子 |
節子 |
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懐手して肩で扉をあけてをり |
早朝の暖房列車の鼾かな |
北風孕む幌のトラック追い越しぬ |
何事もなかったように鳰 |
留守を守る夫のセーター揃え置き |
快方に向かひし病年忘れ |
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由紀子 |
真理子 |
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小春日や嬰にいつもの子守唄 |
極月の幹に松脂にじみをり |
診察の結果待つ間の冬の雨 |
学内にきし献血車クリスマス |
金文字の聖書の表紙冬の月 |
着通しのセーターといふ山男 |
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光子 |
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編みかけのセーター脇に膝枕 |
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キリシタンのお掛け絵ときく霜の夜 |
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冬紅葉パイプオルガン聞こえ来る |
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