自選句
【平成23年4月〜6月号掲載】 |
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【平成23年6月掲載】 |
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「平成23年5月投句より」 |
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佳与子 |
光子 |
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かるの子のあるかなきかの水脈を引き |
万緑の懐深く野岩(ヤガン)鉄道 |
岸近くなればかるの子一列に |
万緑の旧街道に沿ふ列車 |
ばらの影のびて階下にゆれてをり |
温泉の名の駅つゞく余花の旅 |
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由紀子 |
真理子 |
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鯉泳ぐ上を軽鴨の子一列に |
荷崩れのように亀落つ青嵐 |
照りかげりして渓谷の若楓 |
右ひだり履き違えたる靴五月 |
新緑の隅に太古の珪化木 |
浮島の別天地なる蘆若葉 |
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2011Top |
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【平成23年5月掲載】 |
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「平成23年4月投句より」  |
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真理子 |
光子 |
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とべら若葉漁師町より岬まで |
互いの身案じて遠く花薊 |
洞窟の下に残花の船溜り |
磯の香も瑞々しくて春うらら |
烏賊の甲浮きてしずかな港午後 |
うららかにコーヒー豆を煎るにほひ |
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佳与子 |
節子 |
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春の潮汲みしトロ箱菜を洗ふ |
舟ばたに揺らめく光春の潮 |
のどけしや雁木にずらりと菜を干して |
自転車の轍花屑集りて |
引き潮に巡る洞山日永かな |
草木瓜の似合う我が家となりにけり |
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由紀子 |
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潮風の抜ける遅日の洞山に |
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濃き淡き灘の青さに散る桜 |
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地震後の空冷やかに残る花 |
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2011Top |
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【平成23年4月掲載】 |
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「平成23年3月投句より」  |
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節子 |
由紀子 |
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木の橋に佇み浅き春の風 |
初花を万の蕾に探しけり |
一本の枝垂れ桜に芽吹く紅 |
大地震に桜まつりの中止札 |
控えめで芯のあるひと白椿 |
春寒の大地余震のなほ続き |
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真理子 |
光子 |
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梳る風やはらかに芽柳に |
言ふことを聞かぬ父とか春火桶 |
鉄瓶の口の真白に春火桶 |
島に咲く水仙も売り渡船場 |
鳥雲に一船網を落としけり |
筑紫野の夕日の空のつちふれる |
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佳与子 |
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春寒の水辺に一人男かな |
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曲芸のやうに潜りて通し鴨 |
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木の芽風スワンゆっくり動き出す |
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2011Top |