自選句
【平成23年7月〜9月号掲載分】 |
|
【平成23年9月掲載】 |
|
「平成23年8月投句より」  |
|
節子 |
由紀子 |
|
|
声一つ蝉の時雨に重なりぬ |
炎帝へ放り上げたし病の根 |
人知れず呟いている秋の蝉 |
坑婦の絵記憶遺産に鶏頭花 |
こおろぎの声まだバリトンバスばかり |
一人居にまだ慣れぬ夜の初嵐 |
|
|
真理子 |
光子 |
|
|
蓮茎にしがみつく蝉風のまゝ |
父長く戦争語らず盆の月 |
金の蕊残りて蓮の散りしさま |
初秋や姉さん被りの野菜売り |
不知火や戻り船とも思われず |
鎮魂のことば護摩木に大文字 |
|
|
|
|
2011Top Home |
|
【平成23年8月掲載】 |
|
「平成23年7月投句より」  |
|
光子 |
佳与子 |
|
|
雪渓にわづかにとどく朝日かな |
天辺に鳴くはホオジロ山涼し |
雲の峰我が働ける街の上 |
山風に吹き上げられて夏の蝶 |
すべき事すべからく出来灯涼し |
星見える小窓ひとつのバンガロ− |
|
|
節子 |
由紀子 |
|
|
夏草やレールは赤く錆ついて |
紙縒よる父の太き手星祭 |
梅雨明の駅のホームの草の丈 |
たたなづく嶺々鳴き渡るほととぎす |
涼風やスロープカーを降りてより |
雨兆す空の暗きに合歓の花 |
|
|
真理子 |
|
|
|
さつま汁の歌口ずさみバンガロー |
|
川の子に子蟹ひととき遊ばれて |
|
谷川へ小便飛ばす跣の子 |
|
|
|
2011Top Home |
|
【平成23年7月掲載】 |
|
「平成23年6月投句より」 |
|
由紀子 |
真理子 |
|
|
玻璃越しの守宮をつつくひとりの夜 |
鉋屑散りたる中に昼寝の子 |
草に頭をすりつけもして袋角 |
葉の裏に翅を閉じゐる梅雨の蝶 |
郭公のまだ啼く山を惜しみつつ |
前山に朝な朝なほととぎす |
|
|
光子 |
佳与子 |
|
|
ハミングに郭公の声重なりて |
対岸へ点となりゆく梅雨の蝶 |
五月雨の音に眠れぬ夜をまかせ |
どれどれと夫来てもぎし実梅かな |
夏草や力いっぱいボール打つ |
地に落ちし子燕やっと巣にもどり |
|
|
節子 |
|
|
|
手際よく十薬刻み干されゆく |
|
賑やかな町内会の溝浚へ |
|
駅前に来る夫を待つ夏の宵 |
|
|
|
2011Top Home |