自選句
【平成23年12月号】 |
|
「平成23年11月投句より」 |
|
光子 |
勝利 |
|
|
暁の朝となりゆく冬の空 |
口惜しと川辺の尾花薙ぐ君は |
ひそやかに山に点じて式部の実 |
夕日背にタンポポ綿毛影絵めき |
山下る道は二手に帰り花 |
秋落き上弦の月第二幕 |
|
|
節子 |
佳与子 |
|
|
松山のリフトより見る帰り花 |
闘病へ二人三脚冬ぬくし |
満月の未明の伊予に入港す |
社宅より始まりし句座芭蕉の忌 |
境内に低く茶の花巡らせて |
軽々と流れてゆきぬ式部の実 |
|
|
真理子 |
由紀子 |
|
|
かりそめの終止符なりし冬の月 |
染糸を小積む工房小鳥来る |
白萩の卒寿の病越えし文 |
時雨忌の今も時打つ辰鼓楼 |
麦蒔くや筑紫次郎のふところに |
往還の松の太幹冬茸 |
|
|
2011Top Home |
|
【平成23年11月掲載】 |
|
「平成23年10月投句より」  |
|
由紀子 |
節子 |
|
|
離れ家に機織の音秋深し |
太陽を背に鷹柱昇りたち |
柿渋で染めし糸繰る十三夜 |
手際よく夫婦無言の松手入 |
門内に松手入れらし鋏音 |
日暮れまで遊び惚けてゐのこずち |
|
|
光子 |
真理子 |
|
|
露霜の小径をたどり坊の朝 |
初紅葉襖外されゐしを嵌め |
鷹柱となりて渡りの一日かな |
猪の罠の入札あるらしく |
羽ばたかず悠然として鷹渡る |
山葡萄熟れてとどかぬ高さかな |
|
|
|
|
|
|
|
|
2011Top Home |
|
【平成23年10月掲載】 |
|
「平成23年9月投句より」  |
|
真理子 |
光子 |
|
|
病む人の手に重かりしぶどう房 |
葉一枚揺れぬひととき秋冷に |
朽木の戸閉じて宮裏法師蝉 |
結ばれしみくじみな古り秋の宮 |
蝕みは花に及ばず酔芙蓉 |
十六夜の星を払ひて上りくる |
|
|
佳与子 |
節子 |
|
|
かはほりの飛んで街の灯ホツホツと |
駅前の路地に延命地蔵盆 |
厨事聞こえ来る路地油点草 |
ナイターで運動会の練習と |
大ドジに泣いて笑って油点草 |
邯鄲の声高らかな雨上がり |
|
|
由紀子 |
|
|
|
夕日傘残る熱気に折たたみ |
|
朝市へ新涼の風連れ立ちて |
|
一軒の駅前旅館油点草 |
|
|
|
2011Top Home |