自選句
【平成24年10月〜12月号掲載】 |
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【平成24年12月掲載】 |
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「平成24年11月投句より」  |
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光子 |
勝利 |
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目貼してお手玉あそび豆の音 |
お小言をゆっくり噛んで温め酒 |
挨拶を交はす山道冬いちご |
独り住む母や目貼にガムテープ |
冬ぬくし四人の歩調揃ひをり |
故郷の迎えは厚く帰り花 |
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節子 |
佳与子 |
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歩きゐることの楽しく落葉道 |
小春日や禰宜と緋鯉の話など |
軽々と紅葉落葉の袋寄せ |
雨の日の車庫に並べて菊の鉢 |
山道に行き逢ふ人や冬ぬくし |
忍び寄る鷺をかわして冬の蝶 |
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真理子 |
由紀子 |
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塵と見えをりしが百合の返り花 |
倒木の割れ目定かに秋の風 |
冬の星屑を落として音もなく |
ジョギングの人下り来たる紅葉坂 |
気働き行き届く娘や冬日和 |
貼り終えし障子明りに墨を磨る |
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【平成24年11月掲載】 |
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「平成24年10月投句より」  |
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由紀子 |
真理子 |
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雨雲の突と去りゆき望の月 |
鵙らしきひと声高き夕明り |
水澄むや絶滅危惧の蜻蛉棲む |
萩刈て鐘楼ひとつ残るかな |
露光る千羽鶴てふ白き薔薇 |
萩刈りて風色失せてしまひけり |
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光子 |
勝利 |
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遅れ来る人を待つ間の秋時雨 |
田の境らしき辺りや彼岸花 |
鳥運び風の育てし花野かな |
秋時雨川面に溶けし鷺一羽 |
秋の夜を切り裂いて来る能の笛 |
天高くパラグライダーまだ上がる |
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節子 |
佳与子 |
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雲厚き空十五夜を隠したり |
葉に止まりたるとんぼうを見失ひ |
嗅いでみるへくそ葛と知りながら |
パンフレット配るも漁師浦祭 |
水平線埋めつくす舟浦祭 |
投げ釣りにすぐ釣れる蛸秋の晴 |
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【平成24年10月掲載】 |
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「平成24年9月投句より」 |
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佳与子 |
節子 |
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岩肌に次々に影赤とんぼ |
道の辺に見つけしばらく鳳仙花 |
公園に猫の定席良夜かな |
お茶室に籠る一日酔芙蓉 |
スムーズに車流れて良夜かな |
次々に草の花の名つぶやいて |
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由紀子 |
真理子 |
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山一つ越えて伊都国稲の秋 |
授けられ掌に擦る香の秋 |
山小屋の窓の隙より霧流る |
内陣の錦を霧に開け放ち |
知らぬこと多し秋蚕もその一つ |
見送りの父の肩触れ良夜かな |
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光子 |
勝利 |
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遺すこと要らぬ暮らしの良夜かな |
山の端にあの家の屋根良夜かな |
回廊に立ちこめる霧羅漢にも |
秋蚕かな軽く小さき繭ひとつ |
秋水のあふれうるおす寺領かな |
寝転んでみる蜻蛉の多きこと |
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