<H17年10〜12月掲載>


<平成17年12月掲載>

        「平成17年11月投句」より   
 

由紀子 山門に水音のして冬木立 聖子 小春日やバス待つ人と立ち話
六地蔵少しぬらして初時雨 時雨虹一人見つけし友ありて
花博の閉幕間近か落葉舞う 大根の葉の見事さについ見惚れ
光子 量り売り新酒もありし出湯の町 節子 舞ながらまた増えてきて鷹渡る
冬月の満ちゆく日々や旅果てて 図らずも鷹の渡りといふに会へ
沢音もひそか初冬の観世音 ここにまたいのしし穴を掘りゐたり

<平成17年11月掲載>

「平成17年10月投句」より  

節子 背をむけて取ってもらいしいのこずち 光子 趣を越えて伸びたる木賊刈る
刈られいる木賊乾ける音のして 木賊刈る思はぬところ伸び来たり
猿酒を作ることなく園の猿 秋山のリフト時々動きけり
由紀子 木賊刈り終えし庭師の深吐息 聖子 落ちている銀杏多き野辺送り
猿酒もでそうな社の大樹かな 猿酒を造れるほどの森もなく
新蕎麦の湯気たち上がる峠茶屋 秋日和忘れ置かれしボールあり

<平成17年10月掲載>

「平成17年9月投句」より 

聖子 人波にのまれ押されて秋祭り 由紀子 砂袋並ぶ路地裏野分あと
荒びたる月の光の紫苑かな 大川に沿ひし家々野分あと
風の盆艶なる唄は身に沁みて たまに会うことほどよけれ月高し
節子 一本に紫苑の花の多きこと 光子 言えば済む話紫苑に風の来て
生姜売る露店の女薄化粧 台風のさなかの旅となりにけり
慎重に進む山道野分後 台風にホテルの部屋の広すぎて