<H18年1〜3月掲載>


<平成18年3月掲載>

「H18年2月投句」より  

節子 石段の奥宮までの春時雨 由紀子 寿ぎの朝春光の空を仰ぐ
我が心映して春の水鏡 祝杯の輪に加わりぬ春灯
のら猫の恋町じゅうに知れわたり 湯の町の芸妓らも来て午祭り
光子 絵踏の世白きヴェールに祈り継ぐ 聖子 指程の稚鯉群れたる春浅し
うちつヾく鳥居に春の雨の降る 位命婦白狐の社山椿
フルートに眠り誘はれ浅き春 アロマ油を滴らす浴槽春の宵

<平成18年2月掲載>

「H18年1月投句」より   

聖子 小太りの婦人立ちたる社会鍋 由紀子 電飾を巻かれし木々の冬芽かな
去年今年雪の降り止むこともなく 城を背に写す家族や着膨れて
札納本年よりは有料と 言うほどの夢はなけれど去年今年
節子 着ぶくれが着ぶくれ支え散歩かな 光子 また一つ言葉を知りて去年今年
目玉のみ動かし金魚の寝正月 水涸れし堀たヾありし城の址
目に前に気に入りの札歌がるた 歩きゆくうちに冬雲少し出て

<平成18年1月掲載>

「H17年12月投句」より  

光子 自転車も上がりたるとか池普請 節子 時に足少し動かし浮寝鳥
冬の水浮葉の色をにじませて この猫も少々太め冬の町
母よりの荷に二束の干菜あり 湯の宿のまず手焙りに迎えられ
聖子 冬山の麓の寺や猫多し 由紀子 冬帽を脱いでいつもの笑顔かな
神社池小さけれども池普請 池普請するかたわらに鯉売られ
何事もなさざる身にも年の暮 一樹より群れて飛び立つ冬の鳥