<H18年7〜9月掲載>


<H18年9月掲載>

「H18年8月投句」より  

聖子 白蓮の闇に浮かびし野外劇 由紀子 訪ふ人の少なき寺や百日紅
送り火の燃え尽きるまで見ておりぬ 窓越しに虹の片端見てをりぬ
花茗荷匂いたる庭母の庭 ビルの間に夏の満月重たげに
節子 閉じし目になほ稲妻の走りをり 光子 ただ同じ時を過ごしに帰省かな
仏像の並ぶ残暑の宝殿に 育てきし花を手折りて初盆に
蝉の殻立ち入り禁止の金網に 稲妻や身の丈に庭小さくして

<H18年8月掲載>

「H18年7月投句」より   

節子 石仏の顔は茂りの中にあり 光子 かわせみの翡翠低きを飛びゆけり
かわせみの一直線に去り行きし 紫陽花の辻を人力車夫駆けて
青田中ステンドグラス美術館 付き添うて月下美人の夜となりぬ
由紀子 夏霧や由布全景を見せぬまま 聖子 山荘の夏炉の石の冷たかり
旅に来てめだかの川に手を浸し 海の底水母ばかりという話
梅雨出水跡らし橋に泥の草 梅干の笊に茶房のジャズ流れ

<H18年7月掲載>

「H18年6月投句」より 

聖子 子烏の羽か小さき羽落ちて 由紀子 石垣に逃げし蛇又出て小さ
梅雨入りの日窓打つ雨の乱調子 金屏風背に大振りの花菖蒲
かって見し一直線に泳ぐ蛇 庭掃除する頃いつもの時鳥
節子 抜かれゆくかたばみ種を飛ばしつつ 光子 梅雨入りの日となりそうな雨降りて
県境の尾根ひっそりと蟻の道 梅雨に入る棚田は海にひらけたり
一行と別れ一人の額の花 夏潮に西海橋の高々と