【平成19年1月〜3月掲載】
<H19年3月掲載>
「H19年2月投句」より
聖子 | 千光寺石段長き余寒かな | 由紀子 | 渡船行き交う瀬戸や野水仙 |
鞆の浦路地より覗く春の海 | 潮を出るあおさをつけし舫い綱 | ||
豆まきも「祝いめでた」で〆となり | 春浅し瀬戸の島々魚干す | ||
節子 | ひきりなし二艘の渡船春の海 | 光子 | 山焼くや鍾乳石の永き時 |
瀬戸内の風吹き上げる春山に | 春潮の返す光や観音堂 | ||
ドックより響く槌音春の海 | 春月のこぼせししずく星ひとつ | ||
真理子 | 春風の蔵より浦の子らの声 | ||
雁木より春の潮引く鞆の浦 | |||
豆撒きの小餅頭上に飛んできし |
<H19年2月掲載>
「H19年1月投句」より
光子 | 願うより感謝のこころ初不動 | 真理子 | 参詣の列さらに伸び初戎 |
ホットケーキシロップ追加春隣 | 一足の靴脱ぎそろえ寒詣 | ||
寒椿庭師に詫びを言えぬまま | さよならと言わずに帰る寒の月 | ||
聖子 | 現代風の子も福引の縁起物 | 由紀子 | 鷽替えの輪よりはじかれまた中へ |
春隣しだれる枝の先までも | 沈鐘の伝説いまも冬の海 | ||
法善寺水掛不動寒の雨 | 福引の当たりの声に福もらい | ||
節子 | 寒風を一身に受け日蓮像 | ||
参拝の列に冬の日射し始め | |||
ラグビー場一瞬草匂うとき |
<H19年1月掲載>
「H18年12月投句」より
由紀子 | 入口に「静」の一文字冬紅葉 | 節子 | ときに身を流れに任す鴨のいて |
消防の鼓笛隊来る街師走 | ぽたぽたと雑木の雫冬の雨 | ||
売りに来る荷台に選ぶ冬菜かな | 今日からはいいことばかり冬至かな | ||
光子 | 池の面は星空の如時雨来て | 真理子 | 篠垣の潰れ山茶花咲きこぼれ |
雨上がる冬木に光る粒なして | 一木の長きベンチや冬の雨 | ||
紅の棘は真紅の冬の薔薇 | 見上げればパパイアに実や冬ぬくし | ||
聖子 | 冬の時刻むが如く花の落ち | ||
顔見世や早や一年の過ぎにけり | |||
ビル谷間残されし庭枇杷の花 |