名句鑑賞 【平成23年12月号】 |
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光堂より一筋の雪解水 (有馬朗人) | |||
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平泉の中尊寺の金色堂が光堂である。それは、鞘堂(さやどう)の中に納まっている。その鞘堂の屋根に積もった雪が解けて、一筋の流れとなっている。鞘堂を省略して、いきなり「光堂」としているところが俳句の手法です。 | |||
【出典 NHK俳句<季節の句> 清崎敏郎選 】 | |||
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【平成23年11月掲載】 | |||
水鳥のおもたく見えて浮きにけり (鬼貫(おにつら)) | |||
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水に浮かんでいる冬鳥の総称が水鳥で多くは渡り鳥。白鳥は殊にそう感じるが、鴨でも胴体から着水するので、重たげである。しかし着水するとすぐ何事もなかったように、浮かび泳ぎ出す。鬼貫は芭蕉と同時代の作家。独特な、自然を尊重する俳句を作ったが、この句がその一例で、水鳥の姿がよく出ている。 | |||
【出典 「NHK俳句」深見けん二 鑑賞 】 | |||
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【平成23年10月掲載】 | |||
頂上や殊に野菊の吹かれ居る (原 石鼎) | |||
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句集「花影」巻頭の一句。山道をのぼって頂上に出ると、それまで感じなかった風が、からだ全体にうちつけてきます。山並が眼の前にひろがってゆたかな展望ですが、その足許に眼をやると、野菊がことさら風に吹かれて、揺れ騒いでいる。その野菊の可憐な吹かれように強く引かれ、やがて山の冬を予感して心慄かせている作者が感じられます。 この「頂上や」という何気ない詠出が大正初期の俳壇では新鮮にうけとられたようで、それまで季題から発想されていた俳句に、かなりの影響を与えたようです。小動物やこうした植物に寄せる石鼎の感情には殊更なものがあり、「鮎の背に一抹の朱のありしごとし」「蜻蛉の薄羽ならしし虚空かな」など、多くの作品がみられます。 |
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【出典 「近代俳句鑑賞」 原 裕 】 | |||
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