名句鑑賞
【平成25年1月〜3月号掲載】
 
【平成25年3月掲載】 
 
走り茶の針のこぼれの二三本   (石田勝彦)     
        
 
「走り茶」は新茶である。晩春摘まれた一番茶が、新茶として、初夏にかけ各地で売り出される。
その新茶を淹れる時、ほんのわずかこぼれたところを詠んだ句であるが、「走り茶の針」と詠めたところが見事である。一息に詠み切って、新茶そのものが,香りまでするように読者に迫ってくる。 
 
【出典 NHK俳句   深見けん二選】 
 
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【平成25年2月掲載】 
 
白木蓮の純白といふ翳りあり  (能村 登四郎)   
        
 
真っ白な木蓮の花。その花に、日の当らない翳の部分があるという。
こう言われると、木蓮の花の白さが浮かび上がってくるようである。「純白といふ翳り」という巧みな叙法の効果と言ってよいだろう。 
 
【出典 NHK俳句  清崎敏郎選】 
 
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 【平成25年1月掲載】
 
勇気こそ地の塩なれや梅真白  (中村草田男) 
        
 
勇気こそ、社会のために無償でつくすことなのだ、と真っ白く咲いた梅の花を見ながら、わが身に言い聞かせている。勇気をふるって社会につくせ、と直接法で言っているのではないが、その心意の強さが印象的である。 
 
【出典 NHK俳句  金子兜太選】
 
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